球団に学ぶブランド戦略

2014年12月09日

■「阪神タイガース」の商標、使いませんか?

先週、阪神タイガースの商標使用についての商談会が行われたというニュースがありました。

(http://webnews.asahi.co.jp/abc_2_004_20141204001.html)

 


阪神タイガースといえば、関西ではピカイチのブランド。


かつては「ダメ虎」などと言われ、さんざんな時期もありましたが、いくら弱くても関西人に愛される驚異的なブランド力をもった球団です。

関西では、勝っても負けてもスポーツ新聞の一面は阪神。

野村克也監督は、かつて南海ホークスの名捕手でしたが、「関西には阪神、南海、近鉄、阪急と4つも球団が存在しているのに、いつもスポーツ新聞の一面は阪神。いくら自分が活躍しても、阪神よりも取り扱いが小さい。」といった趣旨の「ぼやき」をしていましたが、それも頷けてしまいます。

 


こんなに関西人に愛される阪神タイガースの商標ですから、今回の商談会にも約40社が応募してきたとのことです。

村上ファンドの影響で阪急・阪神が合併したこともあり、球団経営にも利益性が求められていることでしょう。

今回の商談会は、阪神タイガースというブランドを、ロイヤリティを取得するという正攻法で球団経営に活用した例といえます。

 


■ロイヤリティだけじゃない、逆張り利益向上戦略

ここで、わたしが球団の知財戦略として思い出すのが、福岡ダイエーホークス(現:ソフトバンクホークス)。

ダイエーホークスといえば、南海ホークスから身売りされ、フランチャイズを大阪から福岡にうつした球団です。


かたや、福岡といえば、かつての西鉄ライオンズ(現:埼玉西武ライオンズ)のホームグラウンド。

そんな事情もあって、プロ野球が福岡にやってくることを喜ぶ人がいる反面、昔からのライオンズファンには抵抗があったそうです。

そんなさなか、福岡ダイエーホークスがとった戦略は、ロイヤルティ・ゼロ

つまり、福岡ダイエーホークスの商標を商業目的で利用する場合でも、使用料を徴収せず、地元商店等に活用してもらおうという逆張り戦略をとりました。

これにより、ダイエーホークスが失ったロイヤルティは、当時の価値で数億円。


しかし、この戦略は大成功。

 

この戦略をきっかけに、九州の人たちの身の回りに「ダイエーホークス」や「ダイエー」といった言葉が溢れ、いつのまにやら親近感を覚える存在に育ちました。

その結果、球団全体の売上が大きく伸び、九州の人たちに愛される球団に成長しました。

それは、ことし日本一を達成したときの姿をみても明らかでしょう。

時代は流れ、親会社がダイエーからソフトバンクになったいまも、九州の人たちに愛される球団に育った裏には、こういった知財戦略が隠れています。

 

福岡ダイエーホークスの例には、単にロイヤルティを稼ぐだけが「知的財産による収益のあげ方」ではないというヒントが隠されているのではないでしょうか?